介護教員北村圭吾の介護ブログ

介護の現場から介護教員へ転身。介護について介護職と介護職以外の方みんなで考えるブログ

声かけ(言葉がけ)の四段活用

今回は言葉遣いシリーズから
少し進めたものになります

「声かけ」
(「言葉かけ」と遣う方も多いですね)

介護職の皆さんは必ず言葉かけをされていますよね
先輩や上司の方から教わったと思います

「断定ではなく聞くようにして下さい」
「同意を得る聞き方を心掛けて下さい」
といった教わり方をした方も多いのではないでしょうか

もちろんその通りだと思います
今回はその伝える際の「根拠」をお話させていただきます

言葉かけは基本的には「質問」

ですがその質問には段階があるというのを意識されているでしょうか?

言葉かけには「四段階」あります

第一段階
Open question」(開かれた質問)
☆「どうします?」
☆「何にします?」
→答えの限定されない、何を答えても良い聴き方です

第二段階
Select」(選択)
☆「AとBとCのどれにします?」
→二つ以上の選択肢の中から答えを選んでもらう聴き方です

第三段階
Consent」(承諾)
☆「Aでいいですか?」
→こちらが選んだものでいいのか承諾を得る。

 または、相手が選んだものを確認する聴き方です

第四段階
Report」(報告)
☆「Aにしますね」
→結果を伝えます

言葉かけをする際にはどんな方にも、どんなシチュエーションであっても

この段階を踏むことが重要です

 

事例として

おやつについては以下のようになります

☆(O)「Aさん、3時のおやつが用意できますが、どうされますか?」

☆(S)「今すぐ召し上がれますし、後で召し上がるように取っておくこともできます」

☆(C)「では今すぐご用意しましょうか?」

☆(O)「飲み物は何にしましょうか?」

☆(S)「コーヒーとお茶とジュースのどれがいいですか?」

☆(C)「では温かくて甘いコーヒーにしましょうか?」

☆(R)「ではご用意してまいります」

 

このようになります

 

普段されている方も多いですよね

重要なのは「意識して行っているかどうか」です

 

意識して行っていれば

他のシチュエーションでも同様に行うことが出来ますが

意識していなければ

シチュエーションが変わると行うことが難しくなります

 

・トイレ

・寝返り

・散歩

・食事

・立ち上がり

・テレビ

 

どんなシチュエーションでも行えていますか?

 

認知症が進行しているから聞いても答えは返ってこない」

 

そんなことはないですよね

その方がどこまで理解されているのかを自分達が理解していないだけですね

 

目の前の方には意思があります

何のために言葉がけをするのかを忘れないでください

 

その方が自分の人生を自分で生きて行くためです

「行動」は「意思」がなければ起こりません

 

その「意思」を促すための「言葉がけ」です

 

 

ただし上記の言葉がけにも注意点があります

 

自分で判断してその答えを表現するのが難しい方に対し
同じ質問を繰り返してはその方を追い詰めることになります

その方を注意深く観察し

タイミングを計って次の質問へ移る技術が必要です

 

また

第四段階(Report)には相手の意思は含まれていません

しっかりと段階を踏むことを意識して行うことが重要です

 


これが後輩や新人、時には先輩や上司に伝える際に必要な「根拠」となります
それが専門職としての専門性となります

 

介護職は対人援助職であるために

全てのシチュエーションに対応したマニュアルなんてものは存在しません

その分

全ての思考や行動を根拠づけて

言語として表現することが求められます

 


長分で読みにくいかもしれませんが
介護職が尊敬されるべき専門職として
参考にしていただければ幸いです

 

 

2019.9.20